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2018.12.14

『父の背中…』

父の背中…父の背中…

昨日、親父から「今日ランチに行きたいけどカウンター空いてる?」っと電話が来ました。
「本当は、明日が弘のお店の最後だから明日行きたいんだけど、明日は病院だから」と
じつは、親父は一昨日退院してきたばかりで…
退院明けの昨日でした…
ここのところ、親父は入退院をずっと繰り返していて、何にも無ければ、「退院したばかりなんだから今日はやめとこうよ」とランチだけでなく外出も控えてもらうのだけど、昨日は少し悩んで折り返しの電話でOKをしました。

ヒロッシーニ最後の日(前日ですが…)という特別な日であることは、もちろんあります
それ以上に、息子のお店だからという単純な理由ではなく、ヒロッシーニの13年の時間に親父の存在は大きかったからです

まだ薄氷の張る川辺のクレソン採りから始まり、春の山菜、ふきのとうや僕の大好きなわらび、夏は、あの暑さの中、野辺山まで行ってキャベツやブロッコリー、レタスを軽トラいっぱいに取ってくる
そして秋、何と言っても、あの天然キノコです。2年前から僕も親父に場所を教えてもらって採りには行ってますが、あれだけの種類にあの量はホント圧巻です!今になって、親父の凄さをしみじみ感じています。
そして冬…
霜が降りて、凍った野辺山の畑に寒〆ほうれん草や白菜、野沢菜を何日も何往復もかけて採りに行ってくれています。
今年は僕も何回か採りに行きましたが、日中でもマイナスの野辺山はさすがにきついです…
今年は少し体調がいいとお母さんと一緒に採りに行ってくれていました。
それが無理に繋がってるのかな…と無責任に聞こえますが思っています
「ほうれん草が無くてもお店は営業できるから」と何度言っても
それでも体調が良ければ、動けるなら、ほうれん草が足りているのか心配になってしまい採りに出かけてしまいます…
そう思ってしまう、親父のその気持ちを抑えつけるのは、やっぱりできないかな…

すべてを書ききれませんが、ヒロッシーニに来店してくださったお客様は必ず、父の採って来てくれた食材を召し上がったことがあると思います
もう何年も何年も
ヒロッシーニの時間に親父の存在は、とても大きかったのです

だから、昨日はランチに来てもらいました。
食が細くなったのか、いつもは簡単に食べていたパスタを少し残していました…
最後に二人で、エントランスの花の前で写真を撮りました
「一緒に写真を撮ろう」と親父に言ったのは、人生で初めてのことです
意外に良く撮れていたので良かったです。

今日でヒロッシーニの営業は終わります
本当は今日来てほしかったな…

写真は…
12月2日のイベント
『食と音楽のマリアージュ・セッション』
その時のスープに使ったふきのとうです
あまり知られていませんが、ふきのとうは12月の今頃から顔を出します。そして雪が降り…雪の下で、じっと春を待っているのです
どうしても、このイベントで使いたくて、親父に毎年採って来てくれる場所を聞きましたが、何日も見つからず…諦めていたら、セッションの前日、親父から「ふきのとう採っておいたぞ!」と電話がありました。
小さな小さなフキノトウでした…
10粒くらいのわずかな量でしたが、僕には抱えきれないフキノトウでした
涙が止まらない、そんな食材でした ーシェフー

2018.12.12

『日の名残り…』

日の名残り…

この1カ月、本当にたくさんの方と写真を撮らせていただいています
なんか自分の結婚式の時みたいで嬉しいものです
(かなり太った自分を見ると悲しいですが…笑)

そんなお客様は、僕らと写真を撮るだけでなく、カウンターから見える調理場や奥の個室、いつも案内されていたテーブル、優子さんが活けていた花、玄関の上にある金色の H I R O S S I N I の文字など色々な写真を撮って帰られます
レストラン冥利、オーナーシェフ冥利につきます
本当にありがとうございます。

「どこの風景も思い出があるから」そして、「この空間がもうすぐ終わってしまうから忘れないようにと」そう言って寂しそうに写真を撮ってくださっています…

冷めた言い方に聞こえてしまいますが、僕自身に『閉まる』という実感が全然なく、13年間という長い時間を立ってきましたが、そういう寂しさは今もなく、この数ヶ月、お客様との温度差に本当に失礼だと反省しています…

僕らはお客様が、あのドアを開けた瞬間から、最後にお見送りをし、あのドアが閉まるまで、お客様を絶対に不快にさせない!そういう気持ちで日々努めています
僕らは食を通し楽しい空間、癒しの空間をお客様に提供するのが仕事です
その仕事を13年間提供し、今日まで守り続けてきました…
残すところ、佐久平のヒロッシーニは、あと3日となりますが、変わらずその気持ちで最後まで仕事をします

だから、温度差はごめんなさい…
たぶん『閉まる、閉まった、このお店が終わったんだ…』っと実感するのは、もう少し先になるんだと思います。その時はたぶん大泣きしちゃうんだろうなって思います。

お客様には、ヒロッシーニでの思い出がそれぞれあります。誕生日でいつも来ていたのか、結婚記念日なのか、デートだったり、気の合う仕事仲間とだったり、仕事に疲れた時だったのか…家で色々あった時なのか…病気と闘っている時だったのか…
場面は色々で、その様々の積み重ねが、いま思い出になってくれたのだと思っています
まだ高校生で親と一緒に食事に来ていた女の子が、いつの間にか彼氏と二人で来て、そして結婚をして、出産をして、今日は子供を親にあずけて、そんな13年間なのです
娘の梨音(りおん)はわずか1歳で保育園にあずけられ、ママと幼少期を過ごした思い出がありません
そんな娘も来年、受験生です!
そんな13年間なのです

叶わない本音を言えば、閉店を伝えた7月からの半年、特にこの2〜3ヶ月は、暇な日がなく、毎日たくさんのお客様が来店してくださっています。そして一緒に写真を撮ったり、「お疲れ様でした」「ありがとうございました」とお花や贈り物もいただいています。
贈り物は別としても、こうやって毎日満席で働かせてもらえる、こんな環境だったら、ここでこのまま変わらずお店を続けたいと思う毎日です
でも、これは名残惜しさと最後の日が決まっているからなのです
レストランである以上、それではやっぱりダメなのです…
だから、やっぱり終わるのです。
あと3日ですが、よろしくお願いします。

昨日、足立の家族が最後にと来てくれました。
あいつはヒロッシーニオープンから10年間、一緒に働き、ヒロッシーニを支えてくれた大切な存在です。
本当にたくさんの思い出があります
僕はいつも通りに振る舞ったけど、本当に来てくれて嬉しかったかな…
本当に嬉しかった!本当に!

13年間ヒロッシーニを支えてくれたメンバーで写真が撮れてよかった!
このチームでもっと色々やりたかったなーと写真を見てたら寂しくなりました…
(かなりの本音です…) ーシェフー