天狗岳に絶対登るぞ!

3月いっぱいで4年間働いていたバイトが辞め、4月より大学2年生の女の子と高校2年生の女の子が新しくバイトとして加わりました。
学生である以上、当然勉強が本分ですが、週3日のバイトとはいえ、いつか社会に出た時に少しでも役に立つ時間をここで過ごしてほしいと思って日々接しています。
5月に入り、世の中では今年入社した新入社員もちょうど1カ月が経ち、よく言われるゴールデンウィークが明けてのまず最初の離職の時期『5月病』がやって来ます。
右も左もわからないたった1カ月しか働いていない状況で、すぐに逃げ出す人間の気持ちなど到底僕にはわからず、今までも1カ月ではありませんが半年、一年くらいで辞めたいと言ってきたスタッフを引き止めたり、引き止めもしなかったりと色々とヒロッシーニでもありました。
当然辞める人間だけが悪いのではなく、雇用している会社側にもそれなりの辞めたくなる理由はあると思います。それでもやはり継続できない人間の気持ちは僕にはわからず…

そんなゴールデンウィークの今日、と言っても日曜日定休の今日1日だけの休みですが、朝から気持ち良い天気だったので、最近Facebookで色々な友達の山投稿を見ていて、山登りにいつの間にか引き込まれ、朝から高校時代からの山好きの友人に電話をし、初心者でも登れそうな近くの登山コースを教えてもらい行ってきました。
コースは八ヶ岳の稲子湯からみどり池までの2.7㎞、標高差約640mの2時間くらいのコースで上級者の人達からみたらたぶん散歩コースでしょう…笑
それでも山登りは初心者とはいえ、散歩コースとまでは言いませんが、それなりに楽しくは行って来れる気がしていました。

しかし…
わずか20分くらい歩き出したところで足が痛くなり、30分くらいした頃にはもう息も切れ、足が上がらなくなりました…
45歳になり、体重もこの3年で6㎏近く増え、そのうえ運動不足…
帰り道の最後くらいは厳しくなるとは思っていましたが、ここまでキツイとは思ってもいませんでした。
1時間が過ぎた頃には、「あと1時間も登るのはオレには無理」と諦め本気で引き返そうと思いました。
少し長めの休憩を取り、真剣に引き返そうか考えました。みどり池はきれいかもしれませんが、目の前はゴツゴツした石ばかりの山道
その時何を思ったか仕事を初めて一年足らずで辞めていく人の気持ちがなんとなくですがわかった気がしました。

例えば、稲子湯がバリバリ働くぞ!っとやる気に満ちた入社式だとすると、みどり池が3年くらい働いた頃
みどり池は10年も20年も働いている人から見ると大したことのない3年目という通過点
それでもみどり池まで辿り着いた人には、とんでもない喜びと達成感が溢れだす。それまでの3年間に辞めたくなるようなその人なりの苦労が沢山あるからだ!
10年20年働いている人から見れば、それですら大したことのない苦労なのだが…
そして、みどり池に辿り着いた達成感も束の間、今度はみどり池の目の前にそびえ立つ標高2646mの天狗岳を目指す、新入社員の頃よりも途中途中の喜びや充実した時間は多くはなるが厳しさや責任はもっと大きくなります。
多分10年選手の人間はそのあたりで働いていると思います。
そして、その天狗岳にいる人間はもっと高い山、過酷な山を目指しています。それが20年30年働いている人間、または経営者たちだと思います。

そんな挫けながらもみどり池まで登りました。
着いた時のあの景色と達成感、しらびそ小屋のコーヒーの味は何とも言えないものでした。
「あぁー、途中でリタイアしなくて良かったー!」と本当に思いました。

仕事も同じで、山登りのように「あそこから見る景色は最高だよ」と登りきった時の達成感などの話をします。
でも登りきったことのない初めての人間には、いくら先輩の魅力的な話を何度聞かされても、楽しいことのない厳しいだけの途中ばかりでは『心は折れてしまい』登ることを止めてしまう。そんな気がしました。
それでも登るか登らないか、続けるか続けないかは本人が決めることで、登る奴はやっぱり登る、登らない奴は何を言ったって登らない、説得するだけやっぱり時間の無駄なんだと改めて感じました。

そして僕は今日、そのみどり池の目の前にそびえ立つ天狗岳に絶対に登りたいと思いました。
絶対に登るために、今日から体力をつけ体重をしっかりと落とし、今日くらいのコースをまずは何度も歩き、しっかりと準備を整え必ず登り日を迎えます。

よく人生は登山に例えられます。僕も恥ずかしながら、よく後輩たちに今まで使っていましたが、天狗岳に登りきるまではとりあえずやめときます…笑
シェフ