山梨ワイン王国一人旅…
ここ数年悩んでいたことがありました。
オープン当時、ワインはイタリアワインだけをオンリストしようと決めてやってきましたが、たぶん4〜5年くらい前にイタリアのワインだけでなく、色々な国のワイン(特に国産のワインを中心に)ワインリストを作ろうと決めやってきました。
しかし、なかなか長野県産のワイン以外を仕入れることが難しく…
また長野県は素晴らしいワインが多いので、やはり地元の地酒を売ろうと考え長野県産のワインだけを置くようになりました。
長野県には全国区のワイナリーがたくさんあります。お店から車で数キロ離れた地域にもたくさんのワイナリーがあります。
ただ最近、僕のお店で使うには価格的に正直難しいかなっと思いはじめました…
僕のお店の客単価などを考えると、やはりワインリストには¥3200くらいから¥5000くらいまでの価格が主流で、お客様もだいたい1本¥4000前後のワインを注文されます。
そんな中、やはり買値で¥3500〜5000くらいになってしまいますと
地元の地酒ワインとはいえなかなか難しく、しかもそのワインを売値に変えたら…
地元の酒屋さんで買っている以上、普通に誰でも買えますので、「ここでこの値段で飲むなら、あそこの酒屋さんで買って飲んだ方がいい」と言われます。まあ確かなことですが…
僕はたまにですが山梨に行くことがあります。そんな時は必ずどこかの酒屋さんで山梨県産のワインをたくさん買って帰ります。全部自分用ですが…
だいたい¥1680〜2000くらいのものばかりですが、山梨の甲州ブドウを使った白ワインのコストパフォーマンスのすごさには圧巻です。一升瓶ワインは特に!
(マスカットベリーAの赤ワインも大好きです)
そういうワインならお店で¥3000くらいからオンリストすることもできます。
それでも地元のレストランや居酒屋さんでは、長野県産のワインを地酒として地産地消としてギリギリの値段かもしれませんが頑張って売っています。そんなところのもどかしさもずっとあり悩んでいましたが
先日、何を思ったのか?吹っ切れたのか?
山梨県産のワインを使うことに決めました。
とはいえ、おもいっきり地元に対しての後ろめたさは、やはりあります
ただ、たぶんワイナリーさんから見たら、ヒロッシーニの存在など全くないと思います。もっと全国や世界を見て仕事をされているからです。なので僕の悩みはあまり意味がないと思いました。
それでもこの投稿は、地元のワイナリーさんに嫌われそうなのでしないつもりでしたが、そんな思いを一瞬で気持ちよく吹っ切らせて下さった方に今日出会いました。
朝風呂にゆっくりと入って、朝ごはんをしっかりと食べ、ホテルをチェックアウトし、勝沼ワイナリーエリアに向かいました。
最初にこれから山梨ワインでお世話になりたいと考えていた『新田商店』さんへ
山梨の60以上あるワイナリーの全ワインと長野を始めとする全国各地のワインを揃えるワイン屋さんです。
ここでオーナーの新田さんに自分の思いを聞いて頂きこれからお付き合いをさせて貰おうと訪ねました。
昨日甲州ワインを頂いたお寿司屋さんもここで買っているようで、僕のことを朝伝えて下さっていました。
忙しい中1時間近く話しをしながら、1500円〜2000円くらいのスパークリングワインから白ワイン、赤ワイン、違う品種や同じ品種でもステンレス、樽熟成など、様々な個性を持ったワインを1種類づつ20本近く買わせて頂きました。先ずは自分のお店で試飲をして決めていこうかと思い…
そんな1時間近くの会話の中で、「どうしても長野県産のワインは価格的に僕のお店では使うことが難しく、ワインの歴史も長く1000円台から美味しいワインがある山梨のワインを使うことに決めて来ました」っと新田さんにお話しすると、新田さんから…「ヒロッシーニさんのある佐久平からここまで何キロくらいでしたか?」っと聞かれました…
「だいたい150キロくらいです」
そう答えると「フランスのブルゴーニュ地方はだいたい300キロくらいありますよ、僕にとっては長野のなら北信あたりまで地酒としてお店に置いています」…
確かに僕のお店の近くのワイナリーさんのワインも沢山並んでいました。
短い話しでしたが、新田さんのお話を聞いて、なんだか愚痴っぽかったさっきまでの自分の考えがスーッと消えていきました。
昨晩の甲府駅周辺の20歩歩けばワインが飲めるお店が並び
そこで飲んでる普通のお客さんが、色々なワイナリーの話しや品種の話しを当たり前にしている環境
さすがワイン王国と呼ばれるだけのことはありました。
今回、タカシマが急に行けなくなったのは残念でしたが、かえってソムリエという存在がいないおかげで、ゆっくりと経営者としても個人としても、とても勉強になった2日間の一人旅だった気がしました。
(普通の人には出張程度かもしれませんが…)
長野の地元でも1000円台で美味しいワインが買える日がくることを願いつつ…
2日間お世話になった皆さま本当にありがとうございました。
また遊びに行きますね シェフ