『名人に修行入り…』

小さい頃は秋になると
おにぎりを作って
早朝から山に入り
暗くなるまで
毎日きのこ採りをしていた
アケビを見つけたら
おやつにし
地蜂の巣を見つけたら
地蜂の巣を取る
そんな少年時代だった…

お店を知ったいる人なら
わかっていると思いますが
僕は地元で採れた山菜やきのこを
料理するのがいちばん大好きです

そんな大好き人間なのに
大人になってから
特に独立してからは
山に一度も入っていません

代わりに親父が採ってきてくれるから…?
それでも好きだったら
自分でも採りに行っているはずなのに
だから…
たぶん、そんなに好きではないんだと思う

先月入院していた親父は
退院はしてきましたが
正直、あんまり体調はすぐれません…
地元では『名人』と言われるくらいの
きのこ採り名人ですが
今年のきのこ採りは厳しいでしょう…
多分、昨年のきのこ採りが
最後になった気がします
まだわかりませんが…

そんなこともあって
先日親父が僕の家にきて
「ヒロシだけにきのこの場所を教えるから」
っと言ってくれました。
毎年付け続けている
きのこ日記を見ながら

その日記に従い
今朝、親父と一緒に家の裏山で
そろそろ採れはじめている
『ヤマドリ茸』
(ヨーロッパではポルチーニと呼ばれる)
きのこを採りに行ってきました
今シーズン最初のきのこ採りです

やはり、親父は体力もかなり落ち
肺もかなり悪いので
酸素を持って山に入りましたが
途中で具合が悪くなり断念…
ヤマドリ茸の場所だけ
だいたい聞いて
親父を家まで送り届けて
もう一度山に入りました

聞いた場所に着くと
そこには、いっぱいのヤマドリ茸が
広がっていた…!
こんなに興奮したのはいつ以来だろう

ものの数分で20本近く採り
実家に持っていき
親父に大丈夫か見てもらった
全部大丈夫だった
親父もうれしそうだった

病気はいいものではない
絶対健康がいちばんだ

もう少し親父の体力が戻ったら
ゆっくりだけど
親父ときのこを採りに行く
絶対に絶対にね

病気はいいものではない
健康がいちばんだけど

相手との時間を大切にするようになれる
相手が大切な人だったと教えてくれる
相手への感謝の気持ちが尽きなくなる

これから毎朝親父は
きのこの日記と写真を持って
ウチに来るだろう

久しぶりに楽しそうな親父を見れて
僕もうれしい

僕は今朝、きのこ名人のもとで
修行に入った!

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