『日の名残り…』

日の名残り…

この1カ月、本当にたくさんの方と写真を撮らせていただいています
なんか自分の結婚式の時みたいで嬉しいものです
(かなり太った自分を見ると悲しいですが…笑)

そんなお客様は、僕らと写真を撮るだけでなく、カウンターから見える調理場や奥の個室、いつも案内されていたテーブル、優子さんが活けていた花、玄関の上にある金色の H I R O S S I N I の文字など色々な写真を撮って帰られます
レストラン冥利、オーナーシェフ冥利につきます
本当にありがとうございます。

「どこの風景も思い出があるから」そして、「この空間がもうすぐ終わってしまうから忘れないようにと」そう言って寂しそうに写真を撮ってくださっています…

冷めた言い方に聞こえてしまいますが、僕自身に『閉まる』という実感が全然なく、13年間という長い時間を立ってきましたが、そういう寂しさは今もなく、この数ヶ月、お客様との温度差に本当に失礼だと反省しています…

僕らはお客様が、あのドアを開けた瞬間から、最後にお見送りをし、あのドアが閉まるまで、お客様を絶対に不快にさせない!そういう気持ちで日々努めています
僕らは食を通し楽しい空間、癒しの空間をお客様に提供するのが仕事です
その仕事を13年間提供し、今日まで守り続けてきました…
残すところ、佐久平のヒロッシーニは、あと3日となりますが、変わらずその気持ちで最後まで仕事をします

だから、温度差はごめんなさい…
たぶん『閉まる、閉まった、このお店が終わったんだ…』っと実感するのは、もう少し先になるんだと思います。その時はたぶん大泣きしちゃうんだろうなって思います。

お客様には、ヒロッシーニでの思い出がそれぞれあります。誕生日でいつも来ていたのか、結婚記念日なのか、デートだったり、気の合う仕事仲間とだったり、仕事に疲れた時だったのか…家で色々あった時なのか…病気と闘っている時だったのか…
場面は色々で、その様々の積み重ねが、いま思い出になってくれたのだと思っています
まだ高校生で親と一緒に食事に来ていた女の子が、いつの間にか彼氏と二人で来て、そして結婚をして、出産をして、今日は子供を親にあずけて、そんな13年間なのです
娘の梨音(りおん)はわずか1歳で保育園にあずけられ、ママと幼少期を過ごした思い出がありません
そんな娘も来年、受験生です!
そんな13年間なのです

叶わない本音を言えば、閉店を伝えた7月からの半年、特にこの2〜3ヶ月は、暇な日がなく、毎日たくさんのお客様が来店してくださっています。そして一緒に写真を撮ったり、「お疲れ様でした」「ありがとうございました」とお花や贈り物もいただいています。
贈り物は別としても、こうやって毎日満席で働かせてもらえる、こんな環境だったら、ここでこのまま変わらずお店を続けたいと思う毎日です
でも、これは名残惜しさと最後の日が決まっているからなのです
レストランである以上、それではやっぱりダメなのです…
だから、やっぱり終わるのです。
あと3日ですが、よろしくお願いします。

昨日、足立の家族が最後にと来てくれました。
あいつはヒロッシーニオープンから10年間、一緒に働き、ヒロッシーニを支えてくれた大切な存在です。
本当にたくさんの思い出があります
僕はいつも通りに振る舞ったけど、本当に来てくれて嬉しかったかな…
本当に嬉しかった!本当に!

13年間ヒロッシーニを支えてくれたメンバーで写真が撮れてよかった!
このチームでもっと色々やりたかったなーと写真を見てたら寂しくなりました…
(かなりの本音です…) ーシェフー