『成長』

いつも、手を抜かず、きちんと仕事をしていますが… 『この方が来られる』 『この方と一緒に仕事をする!』 そうなると、いつも以上に気を張って、緊張感を持って仕事をする! 『そんな存在の方』が誰にでも、いらっしゃると思います。 例えば、以前、お世話になった上司が社長となって会社を見に来られる!とか 育ててくださった先輩と同じプロジェクトをすることになる!とか 手に職を持っている方なら、自分の師匠が仕事場に来られるとか… 『そんな存在の方が…』

私にも、そんな存在の方がいます! 先週の木曜日のお話しになりますが… 年に4〜5回ですが、東京より新幹線に乗り、夕方ご来店され、食事を楽しまれ、21時台の新幹線でお帰りになるご夫妻がいらっしゃいます。

私たちは… このご夫妻は本当の『美食家』だと思って接客をさせていただいてます。 ご夫妻は、「そんなことはないですよ」と謙遜されていますが…笑 ご夫妻は、日本だけでなく世界中のレストランを巡り、食と食文化を求めて旅を楽しまれる方です また料理の味だけでなく盛り付けや、ワインやサービス、内装など食事に関わるすべての体験を楽しまれています
今の言葉でいう『フーディー』だと思っています
 佐久平駅前時代からご来店され、あの『こてさんね』にも、変わらず来てくださってました そして、移転したこちらの店舗にも変わらずご来店くださり、かれこれ10年近いお付き合いをさせていただいております。

今月、11月の最初に「ヒロッシーニさんのリコボウ料理が食べたい!」とご来店されたばかりでしたが、先週の木曜日も(11月20日も)またご予約をくださりご来店いただきました。 たぶん、僕のネガティブな配信をしたヒロッシーニの公式LINEを見て、心配され、すぐに来てくださったことは間違いありません…

以前は、ご予約が入ると「何をお出ししよう…」と胃が痛くなるくらい悩み、慣れない高級食材などを仕入れ、試作、試食を繰り返し、背伸びをした料理ばかりを考えてなかなか料理もサービスも精神的にも厳しいものでした…

『そんなことが一変!』

以前の岩村田商店街の店舗は(こてさんねは)、今の店舗よりもカウンターが近く、お客様の口についたトマトソースを僕が拭いてあげられるくらいの近さでした…笑 まな板の上の手元だけでなく、ストーブ(ガス台)での焼き方やオーブンを使う動作、塩以外に振ったスパイスやハーブなどの味付けなど細部に渡って、全てが丸見えの距離でした… ご夫妻はジャンル問わず素晴らしい料理も作られますので(ほぼプロの料理人です)料理の質問もかなりされます。 「今振ったのは塩でなく、何を振ったのですか?」「何をかけましたか?」「焼く前に何かしてますか?」「ソースに入っているのは、○○と○○とあと、この酸味は何ですか…?」などなど  『見られる、聞かれる』本当に緊張する仕事でした。 ただそのカウンターの近さが良いことに段々と気づくようになりました! 僕には『面白く話せる!』という特技があります 聞かれる質問には笑いも加えながら答えましたが、僕からも色々とご夫妻にお聞きしました! 最初は、今話題のシェフやレストラン、料理の傾向やパリのレストランのお話など、段々と食材やスーパー、ご夫妻の作られる料理やお二人の料理感などを聞いていましたが

『楽しく話せるようになったきっかけは…』

2019年の冬『グランメゾン東京』というドラマが始まり、鈴木京香さん演じる『早見倫子』さんが、パリの三ツ星レストラン『ランブロワジ』での面接のシーンの話しから、「先月、あの面接していた部屋で食事をしてきたから、ドラマを観て、本当にランブロワジで撮影してるんだ!とビックリしました!!」と そんな、たわいも無い話しで盛り上がり、楽しいお話しと、段々と時間を重ねていくうちに、じつは学者なみにキノコに大変詳しく、キノコも採りに行かれ、同じく山菜にも詳しく、山菜採りも大好きでご自身で料理された山菜料理の写真を見せていただいたり、(山菜料理とはいえ、料理はフレンチです)そうしているうちに、僕も色々なことを質問し、山菜やキノコだけでなく、色々な料理の作り方などを教えてもらうようになりました。 数年前、気持ちよくお話しができるようになった頃、私はご夫妻にお聞きしました 「〇〇さんは、世界中のミシュランレストランに出かけ、そんなレストランに行かれるお客様が、なんで私の(地方の)お店にわざわざ来るのか?疑問に思っています」とお聞きしました すると、ご夫妻は「もちろん、日本のどこどこのお店も好きだし、パリの三ツ星だけでなく色々なレストランも行きますし、好きだけど、ヒロッシーニさんのキノコ料理や山菜料理が本当に大好きで、もちろんヒロシさんの作る料理自体が大好きで、 でもそれ以上に、食事を終えた帰り道に、毎回、「今回も来てよかったねーと話して帰るんです。」と話してくださいました。 「お金をそれなりに出せば、素晴らしい料理とサービスは受けられるけど… じつは、「来てよかったねー」と毎回思う、そういうお店は少なく… だから、これからもおもいっきりヒロッシーニさんらしい料理を作ってくださいね」と言ってくださいました。 人間、不思議なもので、そうなると予約が入るのが楽しみになり、作りたい料理も湧いてくるものです 「少しだけ麺つゆを入れています」と隠さず堂々と話せるようにもなります お店とお客様の関係は面白いものです もちろん、本意でない動作や態度で失ってしまうお客様もおりますが… そういう出会いは飲食店の素晴らしいところだと思います。

とはいえ、先日のご来店の際にも、気を張って、緊張感を持って料理、サービスに努めさせていただきました。 もちろん、お話しも楽しくさせていただきました。 本当にありがとうございました。 ご夫妻がお帰りの際に… 「今度、ネガティブでやばくなったら、ウチにワインでも飲みに来てください、美味しいワインと料理を作って待ってますから…」と言ってくださいました! 「ただ日本にいたらですが…笑」と付け加え笑ってお帰りになりました。

『日々通ってくださっているお客様へ』

『美食家』だから『フーディー』だから、VIPというわけではありません。 日々通ってくださっているお客様、皆様あってのヒロッシーニであり、ヒロッシーニの公式LINEを楽しみに見てくださっている皆様は私にとって、変わらずVIPであります このご夫妻は、仕事がら『私を大変成長させてくださる大切な存在』のお客様です そして、このご夫妻は… 『料理人と料理、サービス接客に対し、いつも感謝と敬意を持ってくださります』 一皿一皿、下げる度に何か一言をくださいます。時には一言以上のコメント、お礼をおっしゃってくださいます 私も人間です 一生懸命メニューを考え、仕込みをし、ご用意した料理に、何も反応がないのは寂しいものです。 やはり、何か一言でもコメントをいただけますと嬉しいものですし、次回、お出しする料理のヒントにも役立つことができますし、私の『成長』にも繋がります これからも変わらず、よろしくお願いいたします。

写真は… 霜が降りて、美味しくなってきた『寒の佐久鯉』 佐久鯉が好きなお客様なので、佐久鯉の燻製を仕込んでお待ちしてました。

【ヒロッシーニの公式LINE】

ヒロッシーニに何度か来店してくださっているお客様にご登録いただき、毎日配信している私のSNSになります。 ヒロッシーニの公式LINEは、何度かお出かけくださった方に、こちらからご案内させていただきます。