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2015.02.24

極上のステーキのような…

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ヒロッシーニの野菜は、定期的に届く農家さんからの発注書に野菜の数を入れてFAXをするだけです。キャベツを2個にするのか?3個にするのか?大根は?ほうれん草は…? 悩んでも、おおよそ5分程度なものです…

先日の土曜日、長野県有機農業研究会が主催の講演会『新しい世界のトビラをあける』と題した、いま全国で活躍する有機農家5人が熱く語り合うトークセッションを聴きに行ってきました。
おかげ様で縁あって、そのトークセッションの5人の中の2人の方の野菜をヒロッシーニでは使わせて頂いています。『のらくら農場』萩原さんの野菜と茨城県にある『久松農園』久松さんの野菜です。本当にこの数年は色々な縁から沢山の有機農家の方とお話しをする機会が増え、今更ながら「野菜を作る」 (土壌作りから始まり雑草や病気、防虫など…色々な苦労があってようやく何ヶ月もかけて収穫ができる)ということにきちんと気づかせて頂いてます。
講演会に重ねて、その後の有機農家の方を中心とした100名近い懇親会にまで参加させて頂き、美味しいお酒を頂きながら、農業というくくりだけではなく飲食業にも通ずる、小さくて強いお店作りのための沢山のヒントや経営術を学ぶことができた、僕にとって大変貴重な時間を過ごすことができました。
長野有機農研の皆様本当にありがとうございました。

そんな土曜日、久松農園の久松さんが、講演会前のタイトなスケジュールの中、ヒロッシーニのランチに寄ってくれました。そして、その食事の中で何度も「エロいなあ」と口に出していました!

そんな久松農園さんの野菜は『エロうま野菜』と呼ばれています。これから、ヒロッシーニのブログやフェイスブック、お店などでこの『エロうま野菜』という言葉が頻繁にでてくると思います。この一見勘違いされそうなうな、「エロうまな野菜』について、僕の説明ではなく、本人、久松達央さんが書いた本
『キレイゴトぬきの農業論より』抜粋しました。

キーワードは『エロうま野菜』…

僕たちが掲げているキーワードに、「エロうま野菜」という物があります。顔をしかめられてる方もいらっしゃるでしょう(笑)。少し説明させて下さい。
美しさと色気って違いますよね?美人でも艶っぽくない人もいるし、逆に色気はあっても美人ではない人という人もいます。色気やなまめかしさを、僕はちょっと下世話に「エロ」と称しています。
食べ物で考えてみましょう。僕がが考えるエロい食べ物の代表は、肉やスイーツです。ステーキの脂身やクリームパイには、本能に訴えかけるような旨さを感じます。食べ過ぎると体に悪いと分かっていてもやめられないような、やみつきになる食べ物です。
肉やスイーツに比べると、野菜は「エロ」より「美人」に近いイメージです。特に有機野菜、オーガニック野菜という言葉は、「やみつきになるエロさ」より「清楚な美しさ」を連想させます。一般に野菜から連想する言葉と言えば「女性」「健康志向」「ダイエット」等。極端に言えば我慢して食べるというイメージも強いのではないかと思います。
しかし、僕はそこに物足りなさを感じるのです。僕が作りたいのは甘い野菜ではなく、ウマい野菜。体にいいから頭で食べるのではなく、思わず体が欲してしまうようなヤバい野菜です。畑に来れば実感してもらえるでしょう。スポッと抜いた瞬間に沸き立つ人参の土臭い香り、噛み締めるほどに冬の小松菜の旨味。「健康な野菜」は、分かりやすい甘さだけでなく、ダシのような旨味や苦味も複雑に絡み合い、深い味わいを与えてくれます。味や香りだけではありません。株全体の力強い姿や実の曲線が、僕にはグッときます。僕はこれを『エロうま』と表現しているのです。

この1月から、またお付き合いの始まった久松さんの書かれた2冊の本を、先日もう一度読み返しました。

僕は、たったの5分で野菜の注文ができます。その野菜ができるまでの過程や背景、生産者の思いなど知らなくても…

だけど、野菜が届いた瞬間からお客様の口に入るまでの時間は、真剣に料理をしなければいけないと今更ながら感じました。お客様を『やみつき』にさせる料理、久松さんの言葉で表現するならば、『官能的な野菜料理』を僕は楽しみながら作りたいと思いました。 シェフ

2015.02.01

10年目の朝

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今日2月1日はヒロッシーニがオープンした日です。
今日から、いよいよ節目となる10年目が始まります。
「今思うと本当に、あっという間の9年間でした!」
っと、よく言うそんな「あっという間」の9年間では決してなかった気がします。
だからといって、とても長い9年間だったわけでも…
ただ、僕にとってこの数年間(5〜6年)の記憶は、かなり曖昧でぼやけて見えます。よくある「あれって何年前だったっけ?」の『いつ』を思い出せない話しばかりで、そう思うと結局どんな9年間を過ごしてきたのか?自分でもわからず心配になります…

オープンして9年、そんなことを思い返し考えるのは実は初めてで、多分今日がオープンしてはじめて仕事ではなく、ゆっくりできる休みの朝だっただからかもしれません。コーヒーを飲みながら今日までの時間を振り返ることができる貴重な時間をもらえたのです。

そんな曖昧な記憶ばかりの僕でも、オープン1〜2年目のことは今でもハッキリと覚えています。それも毎日トラウマのように思い悩ませ後悔から得る成長というものをさせてくれます…

普通のサラリーマンの親の元に生まれ、自営業というものを一切知らずに育ち、温室のようなホテルに就職、そして独立前の5年間だけ個人経営のイタリアレストランで働きながら経営の勉強をさせてもらい、ようやく晴れての独立
今思えば料理的にも人間的にもかなり未熟な独立でした…

高校卒業後 全然佐久平とは離れた場所で働いていたので、当然今の佐久平という場所も誰かの伝手で見つけたわけではなく、大家さんもお世話になる不動産屋も初対面、店舗設計をお願いした建設屋さんも不動産屋の紹介で、ほとんどの業者さんも一から、当然テナントビル5店舗も「はじめまして中山といいます」のすべてが初対面の人ばかり、本当に右も左も分からない相談する人も誰もいない、そんなところからのスタートでした!

それでも佐久平の飲食業界を俺が変えるんだっと意気込んでいた(今となってはかなり勘違いな…)自分と、それ以上に厄介な僕の変なプライドの高さと無駄に負けず嫌いな性格、人に自分の考えを押し付けてしまう最悪の人間性が友人や先輩、そしてお世話になった方々やオープン当初からの常連のお客さんを僕の高飛車な言動で不快にさせ、怒らせ、たくさんの方を失いました。多分もう2度と来店されることないでしょう…

それでもその当時は「自分が正しい」と思い込んでいたのであまり気にはしてなかったのですが、沢山の時間が流れ、色々な方から色々なお話しを聞き、自分の愚かさを知り、それに重ねて順風満帆に見えるようですが、かなり厳しいここ数年の経営状況が自分の考えを改めさせてくれています。

そんな、今の気持ちをブログで書こうと思わせてくれたのが、先日読んだヒロッシーニの野菜でお世話になっている『久松農園』久松達央さんの書かれた本『小さくて強い農業をつくる』を読んだからです。

『常に100点のものだけ出す』でいいのか?…より抜粋

〜それでも野菜を勧めることが迷惑になるとは思わなかったので、そこは割り切って営業しました。知っている人に買ってもらうのは、甘えているようで、じつはかえって気を遣うものです。失敗できないからです。喜んで欲しくてやっているので、もともと手を抜くことはありませんが、悪天候や人為的ミスで「トマトが美味しくない」「きゅうりが入っていなかった」という類のクレームは必ず起こります。こちらは故意でなくても、お客様は悪意に取ることもたまにあります。
そんな時に、相手が知っている人だと、関係が傷ついてしまうのです。知らない人ならいいというわけではありませんが、知っている人に迷惑をかけるのは禍根を残します。特に立ち上げの頃は、技術不足からの失敗がさけられません。それが元で買ってくれなくなった人もたくさんいます。悔しく、申し訳ない気持ちを長い間引きづります。今では少しは慣れてきましたが、嫌なものであることに変わりません。
その気持ちを忘れないためにも、僕はこれまで野菜の定期購入をおやめになった方のお名前を全部残しています。顧客数で増えた今も、累積で見ると、やめていった人の数の方が多いです。たまにリストを眺めながら、「あの失敗のままで終わってるんだな。今のクオリティでもう一度チャレンジさせてもらえたなら」とウジウジ考えています。そんな昔のことなど、先方は覚えてはいないとは思いますが…

サービス業をずっとやっています。決して故意でお客様を不快にさせるつもりは少なからず今は毛頭ありません。ただ僕の言動で離れたお客様が僕のブログやフェイスブックを見てくれているとは思っていません。その方々がもう一度来店して下さるとも思ってはいません。
だからこそ、その後悔をずっと背負ってこれからも進んでいきたいと思います。10年目のヒロッシーニ、どうかよろしくお願い致します。 シェフ