タイトルはやっぱり感謝かな…
Facebook友達が春に投稿した数枚の写真の中の一枚の写真…
(この写真は僕が撮ったものですが同じようなアングルの写真でした…)
その写真を見た時、もう30年以上前にも関わらず、中学生の時の硫黄岳登山をハッと突然思い出しました。
オーレン小屋に泊まり、まだ真っ暗な3時頃に起床し硫黄岳山頂に向けて登った。真夏というのに寒すぎて震えながら御来光を待つ、毎日太陽は必ず昇るはずなのに、生意気な中学生のはずなのに少しづつ登ってくる太陽に感動したのを今でも覚えています。その後下山、帰り道(先生が後ろを見ろっと言ったのか定かではないが…)ふっと振り向いた瞬間の景色がこの本沢温泉から見た硫黄岳の景色でした。
今でも鮮明に覚えていた景色でした。
僕が通っていた佐久中学校(当時の佐久町)の校舎から毎日ハッキリと見えていた硫黄岳や天狗岳
高校に通う小海線からも毎日見えていた硫黄岳
高校卒業後八ヶ岳のホテルに就職し毎日四季折々の八ヶ岳を見続けていた10年間
何年も通った小海のスキー場でのスノーボードのリフトから見える硫黄岳、大好きな温泉『ヤッホーの湯』の露天風呂から見えるあの壮大な硫黄岳
今思うと僕の人生の中に硫黄岳は毎日のように見えていました。
ただ遠くから眺めているだけで十分な存在でした…
壮大すぎて登ることは考えられなかった30年…
登山には興味がなく硫黄岳には2度と登ることはないと思っていたこの30年
あの一枚の写真を見るまで…
あの写真をきっかけに登山を始めました。
誰かに強制されたわけでもなく、登山ブームだからではなく…
何故かふうっと山を登りたくなりました。
それから予定のない休みは毎週八ヶ岳や浅間連峰に行きました。
っと言っても片道2時間程度の山ばかりですが…笑
そんな昨日、いよいよ硫黄岳登山に挑戦!
(登山経験者には大したことではないと思いますが…)
スタート地点の本沢温泉入口、標高1400m〜硫黄岳2760m
標高差1300m片道4時間の初登山
一緒に登ってくれたのは、昨年中学登山で大雨にやられ硫黄岳の御来光も見れず、土砂降りの中ただただ下山という八ヶ岳登山を経験した息子が中学生の間に「もう一度硫黄岳に登りたい」と言ってのリベンジ登山のシエナと学生の頃からの付き合いで、もう30年来の一番の親友で登山歴も長い友人の(新津昌志)2人でした。
彼にはポールの使い方、装備や歩き方など山のことを色々教えてもらいながら
そして懐かしい話やシエナの学校生活や将来の夢、お互いの仕事の話やくだらない笑える話など尽きない話をみんなでしながら、変わりゆく山道と山々の景色、目の前に凛とそびえ立つ硫黄岳を見ながらの登山
天気予報は晴れ、朝から気持ちの良い天気でしたが、本沢温泉を過ぎ登山から3時間が過ぎた夏沢峠あたりから雲行きは急に変わり、山頂まであと一時間というあたりから雨が降り出しました…
慌ててレインを着て、ゴロゴロと石がころがる勾配のきつい岩山を強風と横殴りの雨に叩きつけられ、身体は一気に冷たくなり寒さと霧で視界が悪い中、ゆっくりですがなんとか硫黄岳山頂まで登りきりることができました。
数十メートル遅れながら登る僕の目の前で友人が山頂に着いたシエナに「お疲れ、おめでとう!」っと握手をする姿を見て、男の格好良さを感じました。もちろん僕も2人と握手しましたが、一生忘れられない握手になると思います。
山頂はそれ以上に雨風が強く、なんとか一枚だけ記念写真を撮り下山
登りよりも雨も風も強くなり石も滑りだし、慣れない片道4時間の疲労、勾配のきつさと登りきった達成感で目標を失い、精神的にも肉体的にも転びやすくなっていました。
そんな中、友人は後ろの僕らをずっと気にかけ「この石は浮き石だから気をつけて、ポールを上手く使いながら、ここ滑るよ、シエナ無理しないでいいからゆっくりな」などと、ケガをしないよう、最後まで安全で楽しい登山になるよう声をかけてくれながら硫黄岳を無事下山
夏沢峠の大きな木の下で雨をしのぎながら遅めのお昼をとり、またケガをしないように気をつけながら、ゆっくりと下山
結局雨はやむことはありませんでしたが楽しい下山になりました。
たまの東京で傘をさして歩くことはあっても、今までの僕の人生の中でひたすら雨の中を4時間以上歩いたことなど一度もありません。
今まで雨の中を歩く必要もなかったからです。
ただ、僕の人生の中で雨の中をこんなにも楽しく気持ち良く歩いたことはありません
そして股関節やふくらはぎが痛くて辛いのに歩くことが、こんなに楽しく思えたこともありません。
僕は気の合う仲間とお酒を飲むのが大好きです。ホント楽しい時間です
言葉は全然話せませんがイタリアやスペイン、フランスなど海外を旅行することも楽しく大好きです。
僕は料理人という仕事も大好きで、きれいごとに聞こえるかもしれませんが、高校卒業してからずっと毎日変わらずに楽しいです。時には色々ありますが本当に料理人という仕事が毎日楽しいです。
僕の人生の中に全く違うジャンルの『登山』という新しい楽しみが増えました。
ほとんど毎日、仕事を終えて帰ると日付けは変わっています
休みくらいゆっくり寝ていればいいのかなっと思うことはよくありますが…
僕は必ず予定を入れておもいっきり遊びます。
これからの日曜日もおもいっきり登山を楽しんで、色々をリセットし月曜日からの一週間の仕事(料理)をリフレッシュして楽しむ!
ケガのないよう上手に付き合っていきたいものです。
往復8時間30分かかりましたが、本当に本当に楽しい登山でした。
最後に3つの感謝…
一つ目は一日中天気が良くなく雨が降ってくれたこと、少なくても山での装備や寒さ、帰りたくなっても自分の足で下山するしかないことを教えてくれたこと
2つ目は友人が下山して車まで来た時に山を向いて帽子を取って「さあ、山に一礼するよ! 」っと僕らに「 無事に下山できてありがとうございます。楽しい時間をありがとうございます」って山の神様にきちんと感謝する姿勢
山への敬意と30年来の親友へ感謝
そして、3つ目は…
中学3年になり日曜日は本人の意思で受験勉強にあてている息子が、昨日の登山の話の中でシエナが「リベンジ意外に父の日っていうのもあるからね!」っとボソっと言ってました。
父の日だった昨日、夜のニュースで父の日のアンケートで全国のお父さんに聞いた『父の日に欲しいもの』のベスト3位
3位 プレゼント
2位 感謝の言葉
1位 一緒に過ごすこと
でした…
生まれた頃のシエナは喘息やアレルギーなど色々な病気があり、入退院を繰り返す本当に体の弱い子でした。今でも喘息持ちですが、そんな彼と一緒に硫黄岳に登れたことに感謝です
シェフ