『父の日とわらび…』


今日は父の日ということで、親父には、大好きなブレンデットウイスキーと僕の大好きなニッカウイスキーの『余市』をあげます。

親父にウイスキーをあげるのは、じつに27年ぶりです。
高校を卒業後、就職したホテルで初めてもらった給料で買ったウイスキー以来です。
誕生日には必ず何かをプレゼントしていますが、『父の日』に何かを!っというのは、たぶん人生で初めてだと思います…
男はマザコンだからか? 幾つになっても僕は母が大好きだから『母の日』には必ずプレゼントをしますが、やっぱり父の日は初めてな気がします。

そんな父は、投稿などで知っている人も多いと思いますが、わらび採りやキノコ採りが大好きです
僕は、わらび採りやキノコ採りは苦手ですが、わらびは全ての食材の中で一番に大好きです。
山菜はもちろん、モロッコインゲンなどの豆類やジャガイモ、カブ、春菊やハタやカサゴなどの魚や貝類、仔羊や豚肉も大好きですが、やっぱりわらびが一番です。
軽く見られがちなわらびですが、摘んでからからアク抜きをし、水にさらして、ようやく食べるまでに最低3日以上かかる!その手間とあのねっとりとした食感と風味の良さ、そしてアク抜きの時の熱い灰湯をかけた瞬間の色鮮やかな深緑は、たぶん僕が世界で一番大好きな食材の色なのです。

ヒロッシーニがオープンしてから11年、毎年毎年「こんなに使えきれないよ!」っと騒ぐくらいのわらびを父は採ってきてくれました。

「今度、ヒロシさんのお父さんとご一緒させてもらって、今年こそはキノコ採りや山菜採りに行って色々なことを教えてほしい」
っと同じ料理人の友達たちに食事に行く度に毎年毎年必ず言われています。

そんな12年目の今年、わらびは当たり前と思っていた今年、父はわらび採りに行きませんでした…
さすがに身体がしんどいらしく…
大好きなわらび採りをやめました…
だから、わらび採りには一度も行きませんでした…
昨年、このわらびが親父の採ってくる最後のわらびだなんて思ってもいなかったので、けっこうというよりかなり悲しくなりました。

色んな行事や会や節目など卒業や最後の日がわかっていることって多少はありますが、普段生きている中で『これが最後の日、最後の時』なんて考えることなどなく、そんなことをわからずに生きていることばかりで、時間が流れてから『あれが最後の日、最後の時だったんだ…』っと気づくことばかりです。だからものすごく悲しいのです。
それは東日本の震災のように大きすぎて辛すぎる悲しみもありますし、恋愛にだってそう思うことがあるし、生きていれば色々な場面でたくさんのそんな時があります。

だから、『父の日』ができる今日に感謝をして、気持ちのいい朝のうちに大好きなスコッチを持って実家に行ってきます。