『料理と音楽』

料理と音楽…
僕の中の2017年を
漢字一文字で表すと
ご縁の『縁』になります
本当にたくさんのご縁をいただきました
そのたくさんのご縁の中から…

昨年の11月の終わり
よくご来店してくださるお客様から
ディナーのご予約が3名様で入り
そしてご来店…
ちょうどメインのお肉料理を
出し終えた頃
「シェフに紹介したい人がいます
仕事がひと段落したら
ぜひ、僕らのテーブルに来てほしいです」と
そのお客様より
サービスしていたタカシマが言付かり
メインを食べ終わる頃を
見計らってテーブルへ
紹介されたお二人は
ともにプロのミュージシャン
一人は
歌手の湯澤かよこさん
FMラジオを聴いている方なら
ご存知の方が多いと思います
湯澤かよこさん大ファンの
リスナーは本当にたくさんいます!
あのラジオから聴こえてくる声と
彼女が歌う曲には本当に癒されます

湯澤かよこさんは
長野県伊那市出身の
オーガニックソウルシンガーで
高校を卒業後、
アメリカのバークリー音楽大学に留学。帰国後、ビクターよりCDデビューし
現在は各地でのライブ活動
ラジオパーソナリティーなど
精力的に活動しています
また北陸新幹線
北しなの線開業メッセージソング「Dreaming Girl」
JA長野県イメージソング
「いつもあなたと」など、
数々のCMソングも手がけています

もう一人は高見澤一樹さん
佐久市臼田出身
地元の方ならご存知かと思います
『トレモロアース』のギタリストで
音楽を通して
この佐久でも色々な活動をされています

高見澤一樹さん
2008年に
クラウドベリージャムと
コラボレーションアルバム
「Twist & Swing」でCDデビューをし

ギタリストとして、
プロデュ―サーとして
サウンドトラック制作
善光寺花回廊のイメージソングなどの楽曲提供、
また、数々のアーティストの
楽曲プロデュ―スに携わっていて
湯澤かよこさんをloves.vocalに迎えた「Goodbye My Love 」は
全世界で配信ダウンロードされています

そんなお二人との出会い…

でもその時は
正直、僕はお二人を
お二人も僕を全然知らない関係でした…

紹介してくださった方が言うには
「こちらのお二人とシェフは
仕事は全然違うけど
料理人としてもシェフ個人としても
こうやって出してもらっている
料理だけでなく
Facebookやブログなどを
拝見していると
シェフが持つ感性や表現力は
ミュージシャンとして
音楽活動をしているこの2人と
すごく似ているところがあって
もしかして
うまく交わる(コラボできれば)
『料理と音楽』という
新しいジャンルで
この佐久から何かを
発信できるような気がして
そう思ったらシェフに
どうしても会わせたくなって」と
熱く語ってくれました!

それをきっかけに
それから月に一度ですが
湯澤さんと一樹さんと
短い時間ですが時間を作り
『料理と音楽』をテーマに
ランチミーティングをしています

そんな先日
ランチ終了後の時間を使って
ヒロッシーニでラジオの収録を…
でもその前に
どうしてもお二人に
召し上がってほしい料理があって
早めに来ていただき
カウンターでランチを…

ちょうど
1カ月前のランチミーティング
お二人それぞれから
今までに手がけた楽曲を頂きました
その日の帰り道の車の中
僕の家はお店から車で25分程度
考えごとをするにも
音楽を聴くにも
ちょうどいい距離…
そんなつもりでの帰り道に
聴こうと思っていたはずが
完全に忘れ…
結局のところ
国道からわき道に入った
あと家まで10分程度の広域農道で
思い出し…
湯澤さんからいただいたusbを

流れてきた曲は
僕にはとても衝撃的で
本当に衝撃的で…
数時間前に一緒にミーティングを
していた人が歌っているから
そんな理由ではなく…

カラマツ林の山あいを
真っ直ぐ走る広域農道から
満天の星空が広がっていた
そんなタイミングで流れてきた
『 Beautiful world 』
だったから…

この時の僕の衝撃は
ブログでは表現できないけど
心を持っていかれた
そんな瞬間でした。
そして、それから数日
家に帰ると
リビングのソファーに座り
目を閉じて
イヤホン越しに
何度も何度もこの曲を聴きました

目を閉じて
耳を澄まして
イヤホン越しから聴こえてくる
この曲には魔法があって
色んなことをイメージさせてくれます
それは曲全体の表現ではなくて
単に思いつく単語で
そのたくさんの単語が
料理を作りたくなる魔法の単語で…!
僕も初めての経験だから
うまく言えないけど
この曲を聴いていると
水とか森とか湧き水とか源流とか
春とか土とか
新芽、からまつの新芽、白樺の新芽
太陽、朝の光、澄んだ空気
呼吸、生命、水の音、流れる川の音
天まで伸びようとする蔓(つる)
朝顔の蔓とかではなくて
エンドウ豆の蔓が
空に伸びていくような…
書き出したら書ききれない程の
色々な単語が溢れだし
そしたら…
この曲を料理で表現したくなったのです

いっぱいの単語を合わせ
料理をイメージしていく
お店のスタッフとも共有して
この料理を作りだす
僕は絵が大の苦手だから
こう手で表現する
「こんな野菜を使った
こういう感じのこういうような…」
それでも5年10年と働いてくれている
スタッフには通じているようだ。

誰かに食べてほしいとか
大好きな人に食べてほしいとか
そんなありふれた感覚ではなく
この曲を料理で表現する
そんな思いから
先ず
この季節らしい一皿が仕上がりました

最近
FacebookやInstagramでも
投稿している
もちろん召し上がったお客様も
たくさんいます

水道水ではなく
湧き水を使って
天然のヒラメのアラと(骨)
香味野菜から出汁をとり
バターとふきのとうで仕上げたスープ

この湧き水とスープを
お二人に召し上がっていただきました
もう一皿表現したい料理が
まだイメージ段階であることも
お二人には伝え…
この料理は
お二人にはどう映ったのか…笑

それでも
この曲との出会いは
僕を大きく変えてくれました
料理に対する考え方が変わりました
この数日の料理が
この数ヶ月のお店は
来店されても気づくことのない
変化かと思います
それでも僕は料理人として
この1カ月で大きく変わりました
『料理に対する考え方が変わったこと』
これは誰よりも
僕自身が知っている
僕自身がいちばんの楽しみのはずだから

そんな気持ちになると
見つかる本や言葉が必ずあります

いつも、目に止めず
ペラペラとめくっていた
料理雑誌のページから
こんな言葉が

『語りかける料理を作るためには
まず素材の「声」を聴くことです』

僕の描く
『料理と音楽』の人生
第一楽章が始まりました
ーシェフー

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