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2017.06.18

『父の日とわらび…』


今日は父の日ということで、親父には、大好きなブレンデットウイスキーと僕の大好きなニッカウイスキーの『余市』をあげます。

親父にウイスキーをあげるのは、じつに27年ぶりです。
高校を卒業後、就職したホテルで初めてもらった給料で買ったウイスキー以来です。
誕生日には必ず何かをプレゼントしていますが、『父の日』に何かを!っというのは、たぶん人生で初めてだと思います…
男はマザコンだからか? 幾つになっても僕は母が大好きだから『母の日』には必ずプレゼントをしますが、やっぱり父の日は初めてな気がします。

そんな父は、投稿などで知っている人も多いと思いますが、わらび採りやキノコ採りが大好きです
僕は、わらび採りやキノコ採りは苦手ですが、わらびは全ての食材の中で一番に大好きです。
山菜はもちろん、モロッコインゲンなどの豆類やジャガイモ、カブ、春菊やハタやカサゴなどの魚や貝類、仔羊や豚肉も大好きですが、やっぱりわらびが一番です。
軽く見られがちなわらびですが、摘んでからからアク抜きをし、水にさらして、ようやく食べるまでに最低3日以上かかる!その手間とあのねっとりとした食感と風味の良さ、そしてアク抜きの時の熱い灰湯をかけた瞬間の色鮮やかな深緑は、たぶん僕が世界で一番大好きな食材の色なのです。

ヒロッシーニがオープンしてから11年、毎年毎年「こんなに使えきれないよ!」っと騒ぐくらいのわらびを父は採ってきてくれました。

「今度、ヒロシさんのお父さんとご一緒させてもらって、今年こそはキノコ採りや山菜採りに行って色々なことを教えてほしい」
っと同じ料理人の友達たちに食事に行く度に毎年毎年必ず言われています。

そんな12年目の今年、わらびは当たり前と思っていた今年、父はわらび採りに行きませんでした…
さすがに身体がしんどいらしく…
大好きなわらび採りをやめました…
だから、わらび採りには一度も行きませんでした…
昨年、このわらびが親父の採ってくる最後のわらびだなんて思ってもいなかったので、けっこうというよりかなり悲しくなりました。

色んな行事や会や節目など卒業や最後の日がわかっていることって多少はありますが、普段生きている中で『これが最後の日、最後の時』なんて考えることなどなく、そんなことをわからずに生きていることばかりで、時間が流れてから『あれが最後の日、最後の時だったんだ…』っと気づくことばかりです。だからものすごく悲しいのです。
それは東日本の震災のように大きすぎて辛すぎる悲しみもありますし、恋愛にだってそう思うことがあるし、生きていれば色々な場面でたくさんのそんな時があります。

だから、『父の日』ができる今日に感謝をして、気持ちのいい朝のうちに大好きなスコッチを持って実家に行ってきます。

2017.06.15

『またお客様を失うかな…』

『素敵で嬉しいことが
あったからあえて書きました…』

僕は食物アレルギーとかではないのに、「これは食べられない…あれは嫌い」とかいう
食べ物の好き嫌いがある人間が心底大嫌いです。
(理由にもよりますが)

レストランを経営して以上、経営存続に関わるタブーな発言ですが書きます。

理由の一つは
食材には一切の罪はありません
もともと みんな人間に食べられたくて生まれてきたわけでないのに(これは野菜に関しても)
勝手な人間の生きるために、いのちを落とされた上に「臭いだの、キモいだの、食感が…だの」
正直ホント腹立たしいくらいうるさいです!
僕らは色々な命をいただいて、こうやって生きているのです。
だから「いただきます」なのです。
だから、おばあちゃんたちが言う「米一粒も残しちゃいけないのです」
(これは戦後の食糧難からかもしれませんが)

もう一つの理由は、何でも普通に食べれるという当たり前のことが『とても幸せなことなんだ』ということがわからないレベルの人だからです…

6月10日は息子シエナの誕生日でした。
今年で16歳になりました。
知ってる人は多いと思いますが、シエナは生まれた時から、重度の小麦と卵の食物アレルギーを持っています。この成分を含んだ食べ物を食べるとアナフィラキシーショック(スズメバチに刺されまくった状態)になり、生死に関わるため救急車を呼ぶことになります。小さい頃は(岩村田の有名な某老舗和菓子屋さんのお菓子)や(全国でも有名な煎餅屋さんのせんべい)の成分表の書き間違えによって死にかけたことがあります。

だから、シエナが生まれてからの16年間、我が家には小麦と卵というものの存在はありません。
そのせいか、今年中学になる娘は卵の割り方ひとつ知りません…

我が家には普通のパンやケーキも一切存在しません…

クッキーやバームクーヘン、プリン、カップラーメン、ソーセージやハム、マヨネーズ、冷凍食品…あげ出すとキリがないくらい一般家庭にある食べ物は存在しません

外出していてお腹が空いてもコンビニは何の役にも立ちません…
「えっ!おにぎりがあるじゃん?」って思う方もいるかと思いますが成分表を見てください。ほとんどが食べられません…

子供が好きなお祭りや縁日にも行きません。テキ屋さんの食べものはまさに小麦 卵の極みだから、
たぶん本人は友達といっても、一人だけ見ているだけの辛い思いをするだけなので行きません…
それでも中学くらいから割り切って花火大会くらいは行ってます

当然、外食なんてウチではできません
ファミレスは成分表はありますが、たとえ大丈夫と言ってもマニュアルにそった対応のため断られます
個人店では「大丈夫ですよ」っと言ってはくださるけど、かえって対応に不安を感じる年配の方のお店は何かあったら怖いのでやめます…
一番多いのは…
「すいません、息子がアレルギーがあって」と下手の下手で言っても「あー、そういうお客さんはご遠慮いただいてて、すいませんね〜」ガチャ…と電話を切られたり、門前払いされます
最近ひどかったお店は、正月に初詣で息子と行った善光寺付近の有名な老舗うなぎ屋(Googleで検索1位2位のお店)は、まさに話し途中で勝手に電話を切られました…
その時息子は僕に「ごめんなさい」と何度も謝りました。本人は生まれてからずっと辛い思いをしているのに、僕のせいでっと謝っていました
その時の息子の顔は一生忘れません…

イタリア料理店の息子なのに、ウチの料理を食べたことはありません…

僕は料理人のくせに…
たぶんパン屋さんには5年くらい
ケーキ屋さんには3年くらい行ってません…
(行ったのも仕事の用事で?)

素敵なパン屋さんやかわいらしいケーキ屋さんは無しとしても、スーパーやコンビニのパンやケーキすら、我が家の玄関を通過したことはありません。

我が家のパンやケーキは基本優子さんが焼きます。
もちろん小麦、卵は使わない
それでも美味しさには限界があり、誕生日などはシャトレーゼや31のアイスケーキ 小麦、卵を使わないケーキを買ってきますが、贅沢は言えない立場ですが、やっぱり記念日は手作りと思ってしまいます

そんな今日、友人の津金舞子ちゃんがシエナに小麦と卵を使わないバースデーケーキを焼いてくれました。
彼女もシエナとシエナ以上の食物アレルギーを持っています。だから、すごい勉強をして素晴らしい技術と本当に親身になって焼いてくれます。
親の立場だけでなく、料理人としても尊敬します

写真のケーキがそれです
見た目も素晴らしいけど、とても柔らかく(米粉はどうしても切れないくらい餅のようになってしまいます…)そして、それ以上に本当に美味しいのです
舞子ちゃん本当にありがとうございました。

昨年の暮れ、SOCCAの岩﨑シェフがシエナにケーキを焼いてくれました。3月に息子の高校の合格祝いに舞子さんがお祝いのケーキを焼いてくれました。そして今回のこのケーキ、この16年間で我が家のダイニングに並んだケーキはこの3つだけです

ヒロッシーニはディナーに来店されると、必ず「アレルギーや苦手な食材はありますか?」っと聞きます。
これを読むと好き嫌いの多い人は言いづらくなるでしょう。それ以上に来なくなると思います
それでもお店はお客様に満足して帰っていただくことが仕事ですから言ってください。
きちんと料理は作らせていただきます。

それ以上にたぶん、このブログを読んで、また地元のお客様をおもいっきり減らしたはずです…

このブログは、うまく書けば素敵な話になったと思います
たぶん刺々しく、イラっとした人がだいたいだと思います。 それでも何でも食べられることは、当たり前だけど幸せなことなんだと感じてほしいのです。
好き嫌いの多いお子さんを持つ親御さん、そしてそれなりの大人の方にはわかってほしいのです。

「好き嫌いは個人の自由だろ!」って思われた方、争うつもりで書いてませんので来店されなければいいだけなのでご遠慮ください

もしよかったら一週間小麦と卵を使った食べ物を一切口にしない生活をしてみてください。
パンや麺類だけでなく、色々な製品の成分表を見てください
たぶん、一週間生活できないと思います。

当然、僕のお店はパスタが主体なので来れませんし、僕がそれをやったら経営は成り立ちませんが

息子が一番辛いとは思っていません
世の中には、食物アレルギーよりも、もっと深刻で大変な病気と闘っている人がたくさんいます。
チカラにはなれないかもしれないけど、その大変さや辛さに寄り添える人間、その辛さや大変さを日々理解する努力だけは怠らないようにしていきたいものです。

そんな息子は今朝も舞子さんのロールケーキをしっかり食べて学校に出かけました。     シェフ

2017.05.04

本音書いたぞ…


いよいよゴールデンウィークも中盤。社会人になって一度もゴールデンウィーク、お盆休み、シルバーウィーク、正月休みをしたことがないので、明日も明後日も明々後日も休みだって方の気持ちは、僕にはわかりません…
今日がダメなら明日、明日もダメなら明後日にする、そんな会話も人生で一度もしたことがありません…

うらやましいなっという、そういう話しではありません。
しつこいかもしれませんが、またまた『予約』に関連した話です

僕らはこんな商売だから何においても必ず予約をします。
予約をする理由は…
せっかく取れた貴重な時間を、予約をしておかなかったために入ることができなかった!などという間抜けなことは絶対したくないからです
遠方なら尚更、そこに絶対行きたいからです

これはレストランや居酒屋だけの話ではなく、当然ホテルや新幹線の指定席、美容室、病院(急病ではなく)車のオイル交換やメンテナンス、整体やマッサージなどなど、

僕らの仕事は、朝はサラリーマンの方とあまり変わらない8時過ぎから仕事に入り、終わるのは大抵23時をまわります、遅い時は日付けが変わる日もあります。
18〜17時頃、普通の方々が仕事終わりに友達とゆっくり夕飯を食べるなんてことは、僕らにはまずありません。
だから週に一度の休みや1カ月に一度くらい休める夜は、本当に貴重で大切な時間です。だから食事を予定したら必ず、前持ってお店に予約を入れます。
当然、旅行でもホテルでも、新幹線のチケットも、行きたいレストランも必ず1カ月前には予約を入れ、行きたい観光地の定休日もすべて確認します。
それは『せっかく』『わざわざ』行く大切な時間を過ごす場所だからです。
だからお店に行って『満席』でした『貸切り』でした『定休日』でした…
なんて、有り得ない話しなのです。
ましてや、それから他のお店を探したり(多分悲惨なお店かファミレスでしょう…)移動したりとダブルで時間を無駄にしていたら、それは、ただの間抜けですから…
(これは僕個人の意見です)

ゴールデンウィーク休みがきちんとある方でも、同じように、予定をきちんとたて、無駄のない計画をする方もたくさんいらっしゃると思います。
ヒロッシーニでも90%近いお客様は必ずご予約を入れてくださります。たとえ当日の朝でも、ダメ元でご予約のお電話をくださる方もいらっしゃいます。

それでも、日によっては せっかくお電話をくださっても、お席をご用意できないこともあり、本当に申し訳ないと思っています。問い合わせをいただけただけでも僕らスタッフは本当に嬉しいのです。

今日のブログの本題に入ります

さすがに「今年のゴールデンウィークのピークは3日」と言われてるだけあって、昨日はランチ、ディナーともに1週間前から満席になっていました、数日前からはキャンセル待ちの予約や当日の電話、予約なくお店に直接来られた方で食事ができずお帰りになったお客様はディナーも含め50人近くいたかと思います。
24席の狭いお店です、忙しいお客様や食事を終えたら直ぐに帰られるお客様の席をお待ちの方にご案内しても限りはあります。それでも昨日は5組の方をご案内できました。
そんな中、13時過ぎにみえた4人のお子様連れの家族…
スタッフが外に出て対応
「今日はまだまだお待ちいただいているお客様も何件かいまして、お時間の忙しいお客様で直ぐにお立ちになるお客様のお席は、お待ちの方にご案内したところです。それでも空いたらでいいから待ちますと言うお客様も、まだ何組もいますので、今日はもう営業時間内にご案内することは厳しいので、大変すみませんが他のお客様にはお帰りをお願いしています」と丁寧にご説明をいたしました。
すると、その家族のお父さんが「あー!オレたちに帰れってこと、客に向かって帰れだってよ!この店は…怒」と.

「小さなお店のため、どうしてもお席に限界がありまして、今日はお客様だけでなく、既に20人近いお客様にもお帰りいただいてる状況でして、本当に申し訳ありません…」と平謝り…
すると
「せっかく遠くから来てやったのに、馬鹿にしてんかこの店は、せっかく来てやったんだぞ…」と吐き捨て帰っていきました…

こう見えて、基本ブログは感情を抑えて書いていますが、たまには、本音で書きます

正直、お店から10分くらいの方でも予約の電話はしてほしいです
お席が空いていれば、できるだけ良いお席をと思いますし、満席でも本当に申し訳ありませんとお詫びもできます。

逆にわざわざ、電話もなくそのまま来店され満席だった場合
お詫びはしますが、それ以上に移動する時間やガソリン代も考えると、正直思い立った時に電話一本してくれれば入店できた時もありますし、わざわざ来なくても最初から他のお店に行くことだってできたはずなのです。そうすれば誰も嫌な気分にならないで済むのです。

上記に書いたような問題発言の男は(遠方からのお客様は)このゴールデンウィーク中本当に多くて困っています
他にも「わざわざ遠くから来てるんだから、それなら別の店を教え
ろ」などなど

この携帯の時代、問い合わせや予約の電話くらいできるだろ!
この携帯の時代、お店の電話番号がわからないならGoogleで調べられるだろう!
行楽シーズン真っ只中の信州のレストランがヒマなわけないだろう!
「わざわざ」「せっかく」とか怒鳴る前に予約すればいいだけの話しだろう
それ以上に計画性のないあなた達が、『わざわざ』なんて考えて、レストランに来るようなタイプではないだろう!

いつも以上に忙しい中、お客様の料理とサービスに配慮しながら集中して営業している中、計画性のない自称わざわざな人間たちに「せっかく来てやった」「わざわざ来てやった」と吐き捨てられても、ヒロッシーニは「せっかく来てもらったのに…」なんて1ミリも思っていません。
むしろ「2度と来るな」が本音です。
そういう人間と話している時間も無駄ですし、そういう会話は一日中不快になります。心辺りのある方は、ヒロッシーニに来ない方がいいと思います。

本当に遠方から「せっかく」と思ってくださるお客様は、必ず事前にご予約してくださいます。
この違いを多分、前者は一生わからないでしょう。

また、ヒロッシーニは回転寿司やファミレス、焼肉食べ放題のお店ではありません。一日中休むことなく営業してませんし、入り口にタッチパネルで名前を書いたりするようなお店でもありません。
そんなお店気分でいる方も、どうぞご遠慮ください。少なくともウチはレストランです。ご予約という文化のないお客様はご遠慮ください。

また、ゴールデンウィークになるとご予約のお客様が来ない「バックれ)が相変わらず増えます。
一時間以上遅れてきて、席がなくなっているからって僕らに怒鳴られても、正直不快でしす、僕らの時間の無駄です。その時間を店内のお客様と有意義な時間に使いたいのです
「ご予約の際に遅れる場合は必ずご連絡をお願いします。ご連絡がなく30分以上過ぎますとキャンセルと判断させていただき、他のお客様をご案内します」ときちんと説明して納得してもらった以上、あなたに問題があるのですから、静かにお帰りください。
来ないで連絡もつかない方は、もっともっと問題ですが…

最後によく、満席で入店できず、何度もこちらから「ぜひご来店の際は予約のお願いをします」とお願いしているランチのお客さんへ
相変わらず満席で入れなかった時に「入れないのこれで3回目だからね…怒」っと言って怒って帰られますが、問題はウチにはありません…
何度も入れないのに、問い合わせや予約をしてこないあなたが問題なだけですから

お願いです
僕らは本当にお客様は大切に思っています
が『来てやってる』と思って来ている方は来ていただかなくて結構です。心あたりのある方はご遠慮ください
−シェフ−

ちなみに、ブログには書いたことはありませんが、非常識なお客様には、僕は塩をまくことがありますので、ご注意ください。

2017.04.16

『社会的義務』

4月の初め、お店は久しぶりに3連休を頂き、この3月に高校受験を終えた息子の『受験お疲れ様旅行』として、久しぶりに家族で旅行に出かけました。
今回の旅行は、彼の(息子)リクエストで寝台特急『サンライズ出雲』に乗って西日本に出かけることでした。
東京駅 22時発の寝台列車、初めて乗る寝台列車に、僕は興奮して眠れない旅を想像していましたが…
その思いとは裏腹に つい2時間前まで、いつも通りにお客様の料理を作っていた一日の疲れと寝台列車のラウンジで飲む冷えたワイン、そして心地よい列車の揺れに負け、不覚にも1時間程度で僕は寝落ちしてしまいました…
それでも、佐久平駅で新幹線を待っている時間を使って、Googleで姫路付近の日の出時刻を調べ、それに合わせてセットした目覚まし時計のおかげで、夜が明けていく 幻想的な静かな時間を列車の窓越しでゆっくりと楽しむことができました。
そして、朝の太陽がこんなに眩しかったことを何年かぶりに感じることもできました。
僕は彼に出会うことがなければ、こんな素敵な経験をすることはなかったんだと思いました。

この旅では、色々なところに行きました。その中でも僕は、どうしても行きたかった場所がありました。
それは、京都の伏見稲荷大社です。
12年前、ヒロッシーニのオープンまで、あと1カ月を切った忙しい時期、大阪の実家に年始の挨拶と開業の挨拶を兼ねて、そして商売繁盛の神様として、全国的にも有名な伏見稲荷大社への参拝も含め大阪に行きました。
初めての開業、当然きちんとしたところに行って、きちんとしたお参りをしておかなければ、この先が不安だらけでとても怖く、いま思えば、とても安易な考えで参拝に出かけました。
もうだいぶ前のことなので、はっきりとは覚えてはいませんが、その時は、神様に向かって静かに手を合わせ「どうかお店がつぶれれませんように、そして商売繁盛しますように」とお願いしたと思っています
それから毎年の初詣も、たまの旅行で行く有名な神社でも、その願い事は変わらずにいました…

この歳になっても、知らないことだらけで本当に恥ずかしいものです…
それでも、まだいま知れてよかったと、どこか間に合った感で生きています。

このお参りもそうでした…
今年の正月、長野の善光寺に高校受験の合格祈願に息子と出かけました。
絵馬を奉納して、歩きながらの帰り道、息子に「なんてお願いをしたの?」と何も疑問も持たずに尋ねると
息子は「何もお願いはしてないよ」っと、さらっと応えました…
僕は不思議になり聞き返すと、息子は小学校6年の時、一人で比叡山延暦寺まで行き、その時に延暦寺のお坊さんから色々なことを教えて頂いた話をしてくれました。

みんな神様のところに行くと色々とお願いごとをするけど、毎日毎日、ものすごい数のお願い事をされても、神様は全部聞くこともできないし、叶えることもできない
本来、参拝というのは、神様にお願いをする場ではなく、神様に自分の決意を伝え、これをきっかけに頑張りますから見ていて下さいと、その決意を表明する場

だから、僕は「勉強をしっかりやって受験に挑みます! そして必ず合格して高校生活をおもいっきり楽しむぞ!」
そう神様に伝えてきたそうです。

僕は45年間、参拝の意味を知らずにお参りに行ってました…
最近、彼から学ぶことが本当に多く、ある意味楽しいです。

12年前、僕は自分なりの目的を持ち独立をしました。

* この佐久の食文化の底上げを図る

* 地域の食材にきちんと向き合い、全国から佐久にたくさんの人を呼ぶ

* 大切な記念日や非日常の食事の場として、料理だけでく素敵な空間も提供する

融資の際の開業計画書にも、この思いを書き、僕は開業をしました。

反面、独立するということには、少なからず違う理由も含まれます。
やはり、一番は勤めていた時に感じていたストレスからの解放で、誰の指示も受けずに、自分のやりたい料理(お店)を自由にやることだったと思います。

商売を長くやっていれば、当然浮き沈みはあります。
浮いている時はいいのですが、沈んだ時は、本当に眠れない日が続きます、これは職種に関係なく、どの経営者も一緒だと思います
それが何カ月も続き、支払いなどが厳しくなってくると精神的にも病られ、どうしても前向きになれず悪い方にしか考えられなくなります。

ヒロッシーニも、もちろん何度もそういう時はありました。いま現在だって、決して安定した経営状態ではありません…
それでも、まだオープンして10年を迎える頃までは「何がなんでも絶対にお店を続けてやる!」っという強い思いでやってきましたが、この数年は、もちろん払いきれていない借金は残っていますが、どこか、僕を必要に思ってくれるところがあれば、『また勤めに戻ろうかな…』っと考えるようになりました。
当然雇われるということは、先に書いたストレスはついてきます。それでも安定した給料をいただき、好きな料理を作れることには変わりないのかな…?っと考えることが増えてきていました。

そんなことを考えるようになったからなのか…?
そんなことを考えるている顔がでていたのか…?
こんな話は誰にもした事がないはずなのに…
たまたまの偶然なのか…?
ずっと前からも言われていたけど気づかずにいたのか…?

この数年、帰りのレジでのご挨拶の時やカウンター越しでの会話、仕事でない時も含め、色々な場面で、例えば どこかのお店が閉める話から、例えば 移転する話しから…
話しのきっかけは様々ですが、『ヒロッシーニが閉めるようなことがあったら〜…』
『ヒロッシーニさんが無くなったら〜…』
特に日曜日も営業をするようになった最近は、身体を気遣ってくださる声から『シェフになんかあったら…だから無理はしないでください』
そんな声を毎日聞くようになりました。
これは、オープンして2〜3年の頃とは違い、10年という長い時間の中で確立された(色々な制限や営業時間、価格やメニュー、お店の雰囲気やスタッフなど…)そういう全てをふまえて通ってくださるお客様の本当の声だと感じるようになりました。

極端なことを言うと
昨日までは『自分のお店』を守ってきた自分でした。
あくまでも、『僕のお店…』
だから、心のどこかで、もう一度勤め人に戻ろうかな…っと、現実から逃げ出すようなことを考えられたのです。でも今は明らかに違います。

以前、常連のお客様から言われた言葉があります
「弘さんの料理は、もう弘さん個人の料理ではなく、このお店が無くなると困る人たちがたくさんいる、だから、もうこのお店の存在自体が大袈裟に言うと『社会的義務』になってきているんだよ!」…

自分で自分のことを誉めるほど、嫌なものはありません…
正直ブログでは一番書きたくない話です。それはどう加工しても、いやらしい話に聞こえてしまうからです…

4月の初め、お店は久しぶりに3連休を頂き、旅行に行ってきました。
その旅の途中、僕はどうしても行きたいところがありました。
それは、京都の伏見稲荷大社でした。
先ずは、12年前 参拝の仕方も知らずに勝手なお願いをしたにも関わらず、今日までお店がつぶれることなく続いているお礼の挨拶と
そして『ヒロッシーニを大好きなお客様、大切に思ってくれるお客様のために、僕は何があっても絶対お店をつぶしません、だから今日からの僕を見ていて下さい」
と決意を表明してきました。
とても気持ちのいい京都の朝でした。
桜は見れませんでしたが、どこか晴れやかな京都の朝でした。

広いこの世界から見たら、小さな小さな『大袈裟な社会的義務』をしっかりと背負って

ーシェフー

大きなことを決意した人間は、とても強いです!

おかげ様で、息子も志望校に無事合格し、まだ半月ですが高校生活は、とても楽しいみたいです。
今朝も、しっかり朝ごはんを食べ元気に学校に出かけて行きました。

2017.03.26

大げさに言うと使命かな…

正月明けの落ち着いた頃から、お店は定休日の日曜日を(ランチだけですが…)返上して営業をしています。
理由は何度か書いていますが、この寒さの厳しい、信州佐久の1月〜3月は、夜だけでなくお昼も外食する人がめっきり減る土地柄で、加えて交通手段といえば、ほとんどが車という、この地域では、大雪が降れば当然キャンセルが発生します。(飲食店に限らず)その後道路が凍りついている数日間は、お客様の来店もかなり薄くなります
(これは本当に仕方のないことだと思っています)

そんな売り上げの落ち込む日の補てんとして、日曜日のランチ営業を始めました。

そんな、ブログ投稿をした翌日の日曜日は、春の3連休の真ん中でもあり、ご予約で満席を頂いてました。
その中でも、だいぶ前から予約をしてくださっていた女性8名様のご予約がありました。
そのお客様から前日に「7名になってしまいました」と申し訳なさそうに人数変更のお電話を頂き、当日の朝「6名になってしまいました。本当に申し訳ありません」と連絡を頂きました。

ランチが始まり、6名様のお客様が来店されました。
お客様はみなさん、かわいらしい高校生でした。今年卒業される部活の先輩の送別会ランチでした。
席に着くなり「今日は人数が減ってしまい本当に申し訳ありません」っと幹事さんからお詫びの言葉が…
(もちろん幹事さんも高校生です…)

僕の子供たちも、この春 小学校と中学校を卒業し、進学が決まった同じ嬉しさと、昨日のキャンセルについての投稿の翌日に、きちんと連絡を入れて下さるお客様という嬉しさもあり、勝手ながら、卒業のお祝いに料理をサービスをさせて頂きました。

もちろん、この高校生は僕のブログなど知らず、小さい頃から親にきちんと育てられ、自分たちを取り巻く大人たちの姿や言動を見て、常識を身につけたのだと思いました。だから、この人数変更の電話も、当たり前のように、きちんとしたのだと思いました。
かわいらしい高校生の楽しそうなランチでした。

* 勘違いされないよう書きます

人数変更は仕方ないことだと私たちも思っています。
その中で、こういうマメな人数変更のお電話は本当にお店側は助かります。
食材の準備だけに思われがちですが、それ以上にテーブルの配置も変わり、それによって、もう1組のお客様をご案内することもできるからです。
そして、人数変更は決してキャンセルではありません…
これからも人数が変わることありましたら、気を遣わずに連絡を頂ければ幸いです。

また、前回も書きましたが、医療などで命に関わる状況の方、または災害などで緊急の呼び出しが入った時など
(先ずはヒロッシーニさんに電話…)など考えないで下さい。考えるどころではないと思いますが…
私たちは『ドタキャンされた』とは決して思いませんから
ただ、私たちは色々な仕事に支えられて商売ができています。そのことは変わらず、日々感謝しています。
ただ、仕事によっては急な呼び出しもあります。急な残業もあります。お客様みなさんが言いたいことはあると思いますが、僕がわかって頂きたいのは、この携帯電話を離すことのない、この時代において、連絡一つして来ないキャンセル(バックれです)
または、あらかじめ人数と料理を予約され、いざお店に集まってから、「二人来れなくなったんだけど」っと、それまで何の連絡もなく、席に着いてから人数変更を言う人のことを、前回『キャンセルについて』で伝えたかったのです

話は本題に…
最後に、その高校生のお客様を見送り、これから片付けというタイミングで、お店に1本の電話が鳴りました。
僕は、ほとんど電話を取ることないのですが、その時はなんとなく予約の電話ではない気がして、めずらしく僕が電話をでました。

「はい、ヒロッシーニです」
と元気に出ると
「オーナーさん、いらっしゃいますか?」
っと同年代くらいの男性からでした
「私ですが…」と応えると、
その男性は、「昨日のオーナーさんのブログを読みました」と色々言い始めました。

電話の内容だけを事細かに書くと大変なので、途中を抜いたりして書きますが、その方はこの地域で同じ仕事をしている同業者の料理人(オーナー)らしいのですが…

「 facebookで、いつも色々見させてもらってます。今日もランチをやっていたんですよね。理由はヒマな夜とかがあるから、その分の足りない売り上げのために、日曜日も営業します!って書かれてましたよね。
それ読んだ時に思ったんですが、なんか、「僕は日曜日も休まずに頑張って働いてます、大変なのでみなさん来て下さい」ってアピールしているようにしか見えなかったですよ
昨日のブログもそうですけど、正直、ウチもキャンセルでまいることはありますが、こういう田舎でキャンセルやキャンセル料など色々言ってたら、悪い噂しか立たないですよ! だから、僕は仕方ないなって思うようにして頑張っています。
だから、ブログでああいうことをいちいち書くのはどうかと思って…
地元の人で読んだ人は、たぶん気分悪いと思いますよ。
他のブログでも、正直そう思うことが多いですし、ウチのお客様にも評判悪いですよ。
それが夜のヒマに繋がってるんじゃないですか?

例えば、ヒロッシーニさんの禁煙だって、タバコを吸う人は排除、年齢制限だって子供連れは排除、
アラカルトをやめて、コースのみにしたのも、パスタだけを食べたい人や軽いつまみでワインを飲みたい人は排除!
ヒロッシーニさんの作りたい理想のお店や理念はあると思いますが、排除排除ばかりではお客さんは来ないですよ
『日曜日も休まず頑張る』前に、もっと考え直すことがあるんじゃないんですか?
facebookには肯定的なコメントばかりだし、メッセージはできない設定になっているので、電話で直接言うしかないなって思って
…そんな内容で話してきました。

最初の声の感じで、あんまりいい話な気がしなかったので、僕はメモを取りながら聞いていました。

今度は、僕の話すタイミングだなって気がしたので、一つ一つ応えました。

「先ず、日曜日営業の話は後にして、
禁煙についてですが…
ウチは12年『タバコの匂いがしないお店』を貫いてます。
いま国会で騒がれている受動喫煙防止法案とか、そんなレベルでなく、まだ『分煙』なんて言葉もなかった12年前から店内は全て禁煙でした。
数年前まで、僕もタバコを吸っていたので、タバコが嫌いだから禁煙にしたわけではありません。

理由は、たった一人のお客様がタバコを吸うだけで、店内のお客様みなさんが不快になるからです。
ウチは、軽井沢のすごいフレンチでも、東京の星付きのレストランでもありません…
大したお店ではありませんが、それでも食事を目的としたレストランです。どうやってもタバコの匂いと食事は共存できないと思うからです
ただ、逆に『酒場』と言われる居酒屋やバー、スナックなどはタバコあってのお店と僕は思っています。

ブログを全部読んでいられるなら、『年齢制限』についても『コースのみのお店』に関しても、そこに書いた気持ちと全く変わりはありません。むしろ時間(歴史)のおかげで、よりそれを理解して下さるお客様やリピーターも増えました。

あなたが言う、日曜日営業よりもヒマな平日を埋める考えは…
『タバコの匂いがしないお店』を支持してくださっているお客様は変わらず来店され、そのうえ喫煙者も来店する
だからヒマな夜は無くなる

もしくは、タバコの匂いが嫌いなお客様より、タバコを吸うお客様の方が絶対数が多いので、ヒマな夜は無くなる

子供連れにしても同じことが言えるということですか…?」

メモのおかげか、こういう話に慣れなのか冷静に伝えました。

地域の集まり、子供の学校の集まりなどでも同じようなことを言われます。
佐久は小さな街です。どこかに飲みに出かければ、必ず知り合いやお客様(厳密に言うと、この場合は元お客様)にも会います。
酔った席です、電話の彼のような意見は、ごまんと言われてきています。
昔は、よく言い合いになりケンカにもなっていましたが、最近は完全に聞き流しています。面倒というよりも、それぞれ考え方が違うので仕方のないことだと思うようになったこと
それ以上に、禁煙や年齢制限があるからこそ、10年以上通ってくださる数え切れないお客様がいるから、その方々を裏切るようなことだけは絶対したくないからです。

最後に、一つだけ気になったことがあったので、僕は電話の相手に質問しました。

「あなたは、同じ仕事をされていると言っていましたが、あなたは料理人として、オーナーとして、『美味しい料理を作る』のは当然として、何を大切にして…何を使命として…毎日仕事をしていますか?」
っと尋ねました。

しばらく、無言が続いたので…
「無理にはいいですよ」と伝えると

彼は「やっぱり地産地消です。僕は地域でとれた物や地域で生産された物をできるだけ使って、地元の人だけでなく、外から来る人にも知ってもらう。
そのために生産者の方だけでなく行政などの方とも一緒になって、色々なことを仕掛けて、佐久の食文化を上げていくことだと思います。
ヒロッシーニさんだって、野菜とかプルーンとかで色々やってますよね。それと同じことです」

「地産地消なんですね。僕は一つ気になったことがあったので聞いて下さい。
電話の最初の頃「キャンセルのことをお客様に色々言ってたら、悪い噂しかたたないですよ、だから僕は仕方ないと思っています」
って言ってましたよね
確かに地産地消は大切です。本当に大切だと思います。僕もその想いを持ってやっています。
ただ、『地産地消』=『食文化が上がる』
だけではないと思います。
何か特産の物を使って、何か新しい料理を考えたり、色々な人を集めて会をやることってありますよね。会はやらなくても、自分なりに発信することもありますよね。
料理をやっていればわかりますが、新しい料理を考えたり、自分の料理にその食材を取り入れるのは難しかったりして、悩んだり苦しんだりしますよね。
それでも、それって楽しいことじゃないですか?
苦悩もあるけど楽しいじゃないですか
変な例えかもしれませんが、部活で全国大会目指しているような…苦しい練習時間もあるけど、試合は楽しい、結果が出ればもちろんもっと嬉しい…みたいな

(決して、地産地消に対して生産者や料理人の悪口ではありません…)
逆に言えば、怒らせたり、嫌われたりしないですよね。

僕は飲食店経営者である以上、食文化を上げるためには、今回の『キャンセルについて』のように、ルールやマナー、モラルをはっきりとお客様に伝える。理解してもらうことが、それ以上に大切な食文化の向上だと思って12年やってきています。

メールで「潰れろ!」「星付きのつもりか!何様だ!」「小さい子供のママ友をナメんなよ」っと色々なことを書かれても、年齢制限の黒板を見て「てめーみたいな店は潰れろ」っと玄関で唾を吐かれても、電話で無断キャンセルや時間のことを説明していて、前回書いたような態度で切られても…
嫌なことばかりだけど、ブログという形や、もちろん丁寧に直接伝えていくことが一番大切な使命だと僕は思っています。
例えの部活でいうなら、学校の先生(特に生徒指導の先生みたいな)遅刻や服装、挨拶や態度とか、できれば言いたくないけど、ウザいって嫌われるけど大切なことだから、やっぱり言わなければいけないことのような…

例えは、たぶんズレているかもしれませんが、なんとなく伝わったのか、その後もう少し色々な話しをして電話を切りました。
(人生かけての仕事と部活は、当然違います。ただ、その時は急な電話でそれしか考えつかなかったのです…すいません)

最後に、今日の電話のことをブログに書いていいですか?
当然名前は出しませんし、あなたに対してのバッシングのコメントは書かないようにお願いするので、っと尋ねると快く承諾してもらいました。

そして、「来月あたり、お互いヒマな夜に一緒に飲もう!」という約束もしました…笑

なんとなく嫌な電話だったのか、よくわかりませんが、電話が来てよかった気がしました。シェフ

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